このラボノートについて
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2024/07/23 平見知久
OTOBO 11.0ではダイナミックフィールドで新しいタイプ(型)が利用可能となっています。本記事ではそのうちスクリプト型について紹介します。
通常のダイナミックフィールドは文字型、日付形等、ユーザが入力する項目ですが、スクリプト型は参照のみでユーザーが入力することは出来ない項目です。他のダイナミックフィールドの値などを基に処理を行い、あらかじめ指定しておいたスクリプトの結果を表示します。
スクリプトと言っていますが、実際にはOTOBOで使用しているperlのTemplate Toolkitというモジュールで利用可能なHTMLのテンプレートを指定します。Template Toolkitでは条件式やperlのソースを埋め込むことができるため、指定した条件に基づいて表示される内容を変えることができるようになります。
例えばticket06というダイナミックフィールドが存在するとき、script01というスクリプト型のダイナミックフィールドを以下のように作成します。
この状態でticket06の値を変更すると、画面上ではticket06の値を参照したり値をもとに条件を指定して生成された内容が表示されます。
エンドユーザーが自由に使うにはややハードルは高めなものの、うまく利用するとこれまでですとカスタマイズが必要になっていたようなことをカスタマイズなしで実現することができるようになります。
2024/07/16 平見知久
2024年7月現在、セキュリティ強化の観点からMicrosoft365、Google Workspace共に認証方式がOAuth2のみとなっており従来のパスワード認証は使用できなくなっています。OTOBOの素の状態ではOAuth2でのメールアカウントへのアクセスは対応していないため、公式からMailAccount-OAuth2というOAuth2対応のパッケージが公開されています。
弊社ではMailAccount-OAuth2が公開される前に自前でOAuth2対応のパッケージを作成・提供しているのですが、OTOBO 11が公開されたこともあり、改めてMailAccount-OAuth2の内容をのぞいてみました。
結論から言うと、プログラムを書ける方以外が本パッケージ(RotherOSS)を使うのは難しいと思われます。
理由ですが、管理画面は実装されていますが肝心の認証処理のUIが実装されていません。
画面で規定のパスワードを設定すれば終わりの通常認証と異なり、OAuth2ではプロバイダ(MS365, Google Workspace)側で承認を出してもらう必要があります。このためこの処理を担うプログラムが必要となるのですが、その部分が提供されていない状態です。承認の処理を行う内部的なAPI自体は実装されていますのでOAuth2の知識があり、簡単なプログラムを書ける方ならMailAccount-OAuth2を土台に上記の処理を自力で書けば利用できると思いますが、流石にかなりハードルが高い気がします。
弊社で作成したOAuth2対応パッケージでは(当然)承認処理も実装しており、管理画面から行えるようにしてあります。弊社サポート対象のお客様にはOTOBOの最新版で提供可能です。
お手軽にOTOBOでOAuth2対応したいというお客様はお声がけいただければと思います。
2024/07/09 桜井耕造
■OTOBO 11.0.3のインストール手順
2024年5月28日に最新のOTOBO 11.0がリリースされました。OTOBOはチケット管理ができるソフトウェアで、セールスフォースやServiceNowなどのサービスと比較されることがありますが、OTOBOはオンプレミス環境に導入し、個社ごとにカスタマイズしやすいオープンソース・ソフトウェアです。まずは、一度、どのように利用できるのかを以下の手順でインストールしてみて下さい。
インストール環境は、以下となります。
Ubuntu 24.04 LTS
mariadb-server-11.4.2
otobo-11.0.3
apache 2.4.58
(1)MariaDB 11.4のインストール
//MariaDB 11.4.2のリポジトリをダウンロードします。 # curl -LsS https://downloads.mariadb.com/MariaDB/mariadb_repo_setup | sudo bash //リポジトリを確認して、MariaDB 11.4.2がインストールされることが分かります。 # cat /etc/apt/sources.list.d/mariadb.list --------- # MariaDB Server # To use a different major version of the server, or to pin to a specific minor version, change URI below. deb [arch=amd64,arm64] https://dlm.mariadb.com/repo/mariadb-server/11.4/repo/ubuntu noble main deb [arch=amd64,arm64] https://dlm.mariadb.com/repo/mariadb-server/11.4/repo/ubuntu noble main/debug # MariaDB MaxScale # To use the latest stable release of MaxScale, use "latest" as the version # To use the latest beta (or stable if no current beta) release of MaxScale, use "beta" as the version deb [arch=amd64,arm64] https://dlm.mariadb.com/repo/maxscale/latest/apt noble main # MariaDB Tools deb [arch=amd64] http://downloads.mariadb.com/Tools/ubuntu noble main --------- //MariaDB 11.4.2をインストールします。 # apt install mariadb-server //MariaDBインストールパッケージ確認 # apt list --installed | grep mariadb libmariadb3/unknown,now 1:11.4.2+maria~ubu2404 amd64 [installed,automatic] mariadb-client-compat/unknown,unknown,now 1:11.4.2+maria~ubu2404 all [installed,automatic] mariadb-client-core/unknown,now 1:11.4.2+maria~ubu2404 amd64 [installed,automatic] mariadb-client/unknown,now 1:11.4.2+maria~ubu2404 amd64 [installed,automatic] mariadb-common/unknown,unknown,now 1:11.4.2+maria~ubu2404 all [installed,automatic] mariadb-server-compat/unknown,unknown,now 1:11.4.2+maria~ubu2404 all [installed,automatic] mariadb-server-core/unknown,now 1:11.4.2+maria~ubu2404 amd64 [installed,automatic] mariadb-server/unknown,now 1:11.4.2+maria~ubu2404 amd64 [installed] # systemctl restart mariadb # mysql_secure_installation Switch to unix_socket authentication [Y/n] Y Change the root password? [Y/n] Y # rootのパスワードの設定 New password: Re-enter new password: Remove anonymous users? [Y/n] Y # 匿名ユーザを削除 Disallow root login remotely? [Y/n] Y # root ユーザでのリモートからのログインを禁止 Remove test database and access to it? [Y/n] Y # test データベースを削除 Reload privilege tables now? [Y/n] Y # 権限テーブルをリロード Thanks for using MariaDB!
(2)OTOBO 11.0.3のインストール
# apt-get install -y libarchive-zip-perl libtimedate-perl libdatetime-perl libconvert-binhex-perl libcgi-psgi-perl libdbi-perl libdbix-connector-perl libfile-chmod-perl liblist-allutils-perl libmoo-perl libnamespace-autoclean-perl libnet-dns-perl libnet-smtp-ssl-perl libpath-class-perl libsub-exporter-perl libtemplate-perl libtext-trim-perl libtry-tiny-perl libxml-libxml-perl libyaml-libyaml-perl libdbd-mysql-perl libapache2-mod-perl2 libmail-imapclient-perl libauthen-sasl-perl libauthen-ntlm-perl libjson-xs-perl libtext-csv-xs-perl libpath-class-perl libplack-perl libplack-middleware-header-perl libplack-middleware-reverseproxy-perl libencode-hanextra-perl libio-socket-ssl-perl libnet-ldap-perl libcrypt-eksblowfish-perl libxml-libxslt-perl libxml-parser-perl libconst-fast-perl # apt-get install -y libcapture-tiny-perl # apt-get install -y libcss-minifier-xs-perl # apt-get install -y libjavascript-minifier-xs-perl # apt-get install -y libtext-csv-perl # cd /opt # wget https://ftp.otobo.org/pub/otobo/otobo-latest-11.0.tar.gz # tar zxvf otobo-latest-11.0.tar.gz # cp -r otobo-11.0.3 /opt/otobo
(3)Apacheモジュールのインストール
# apt-get install -y apache2 # a2enmod headers # a2enmod cgid # a2dismod mpm_event # a2enmod mpm_prefork # a2enmod perl
(4)OTOBOの設定
//Config.pmの設定をします。 # cp /opt/otobo/Kernel/Config.pm.dist /opt/otobo/Kernel/Config.pm # useradd -r -U -d /opt/otobo -c 'OTOBO user' otobo -s /bin/bash # usermod -G www-data otobo # cp /opt/otobo/scripts/apache2-httpd-vhost-80.include.conf /etc/apache2/sites-available/zzz_otobo-80.conf # cp /opt/otobo/scripts/apache2-httpd-vhost-443.include.conf /etc/apache2/sites-available/zzz_otobo-443.conf # a2ensite zzz_otobo-80.conf # a2ensite zzz_otobo-443.conf # cp /opt/otobo/scripts/apache2-httpd.include.conf /etc/apache2/sites-available/zzz_otobo.conf # a2ensite zzz_otobo.conf # mkdir /opt/otobo/var/tmp # /opt/otobo/bin/otobo.SetPermissions.pl # systemctl restart apache2
(5)OTOBOのセットアップ
①以下のURLからOTOBOのセットアップをします。「次へ」を押下します。
http://XXX.XXX.XXX.XXX/otobo/installer.pl
②「ライセンスに同意して進む」を押下します。
③「次へ」を押下します。
④MariaDBのrootのパスワードを入力して、「データベース設定をチェック」を押下します。
⑤以下の画面に変わりますので、そのまま「次へ」を押下します。
⑥続いて、「次へ」を押下します。
⑦この設定は後で設定変更できるので、「次へ」を押下します。
⑧「この手順を飛ばす」を押下します。
⑨これでセットアップ完了です。表示されたパスワードでログインすると、利用可能です。
http://XXX.XXX.XXX.XXX/otobo/index.pl
ID : root@localhost
PW: 画面に表示されたパスワード
以上、Elasticsearchをインストールして設定をすると、検索性能が上がりますので、導入することを推奨しています。ここの手順は省略します。
2024/07/02 桜井耕造
2024年5月28日にOTOBO 11.0.2(正式版)がリリースされました。これまでは、ElasticSearchの採用で検索性能を向上させる、顧客Webインターフェースの一新などの機能拡張はありましたが、基本的に全身のオープンソースであるOTRSを継承して、同様に利用できるようにした印象がありました。しかし、今回のOTOBO 11.0は、サービス管理の柔軟性を大幅改善したり、利用しやすいように随分ユーザー視点で改良したと思います。これまでのCMDBの機能は、構成情報のデータがリレーショナル・データベースとして格納されていなかったり、機能拡張や性能など問題がたくさんありました。これを一新し、CMDB 11.0を追加リリースし、資産管理プロセスとサービス管理プロセスとの緊密な結合を可能となって、進化したOTOBOを体験できる製品に仕上がったといえます。(注意:CMDBについては、2024年7月2日時点でベータ版であるため、本番環境でのご利用は暫くお待ち頂くことを推奨します。)
ここでは、ざっくり改修された機能を箇条書きで紹介し、次回以降で詳細を紹介していこうと思います。
OTOBOの製品ホームページ(英文): https://otobo.io/en/
OTOBOのマニュアル: こちら
OTOBOとは: チケット管理、ITSMによる運用管理ができるオープンソース・ソフトウェアです。
■ダイナミック・フィールドの新機能
①スクリプト フィールドを介して、OTOBO 11.0では論理演算子を使用して条件を評価したり、
計算を実行できます。例えば、注文が予算ガイドラインに準拠していることを確認したり、
製品の保証ステータスを決定したりできます。結果はチケットに表示したり、
フォローアップ プロセスをトリガーしたり、フィールドの表示に影響を与えたりすることができます。
②DynamicFieldSet は複雑な数式の構成を高速化します。複数のダイナミック・フィールドを
1つのセットに組み合わせて、同じコンステレーション内のさまざまな場所に固定要素として挿入できます。
(例えば、姓、名、住所の組み合わせ)
③MultiValueは、数量と価格を含む複数のアイテムをキャプチャするなど、実行時に + | – を使用して
フィールドまたはセットを動的に追加または削除する機能を強化されました。
④参照により、担当者、顧客ユーザー、チケット、CI、CIバージョンなどのOTOBOオブジェクトに
ダイナミック・フィールドを介して直接アクセスできるようになり、顧客管理とCMDBの間、及び
その逆のシームレスなナビゲーションが可能になりました。
⑤レンズ フィールドと組み合わせて、参照されたCI内の属性にアクセスすることもできます。例えば、
調達プロセスからCMDBのチケットにリンクされたコンピューターのハードドライブを直接更新できます。
⑥新しいダイナミック・フィールド「一般カタログ」を使用すると、さまざまな形式でのリストの一元管理と
並列展開が可能になります。リッチ テキスト フィールドでは説明テキストの書式設定が可能で、
「添付ファイル」ダイナミック・フィールドでは添付ファイルを追加できます。
⑦チケットマスクを構成するためのフィルター関数、名前空間、および YAMLエディターにより、
管理が簡素化され、柔軟性が向上します。
■チケットマスクの新機能
①OTOBO 11.0のダイナミック・フィールドは、様々な順序と個別のラベルのみを表示できるように
なり、マスク機能が拡張されました。
②複数列機能の追加: ダイナミック・フィールドは、任意の数の列を持つグリッドに配置できます。
③複数値: ダイナミック・フィールドとセットは、実行時に + | – を使用して動的に追加または
削除できます。
④読み取り専用: 選択したマスクのフィールドを定義済みの値で表示します。例えば、以前の
プロセス ステップの情報を参照として提供し、それ以上の変更は許可しません。
⑤機能追加されたチケットマスクは、プロセス・チケットでも使用できます。
■データベース内の言語翻訳
OTOBO 10.1までは、データベースに格納されている文言に対して、日本語で表示したい場合、直接日本語に修正していました。例えば、多言語で利用している場合は、日本語に直してしまうと、英語圏の方が日本語が分からずという状態になり、不都合がありました。このように多言語でグローバルに利用できるようにデータベースに登録されているデータを利用環境言語に翻訳している機能が追加されました。
①管理インターフェイスを通じて直接修正できます。
②検索により、システム内の未翻訳の要素を具体的に検索できます。
③インポート/エクスポート: 用語はインターフェイスで直接翻訳するか、
Excel リストにエクスポートして翻訳してから再度インポートすることができます。
■機能強化
①内部向け記事の編集
チケットを整理し、改訂も安全に: OTOBO 11.0では、社内記事を遡及的に編集および削除できます。
つまり、チケットは透明性を保ち、常に最新の状態になります。
個々の編集手順は、チケットのバージョンに保存されます。
②CKEditor 5
OTOBO 11.0からCKEditor 5を採用されました。
③クイック タイム ボタン
実用的: 個別に設定可能なクイック タイム ボタンを使用して、チケットの
待ち時間を事前設定された期間 (例: 1 週間) で延長または短縮します。
④顧客情報タイル
多用途: 顧客情報タイル – 管理インターフェイスを介してカスタマイズおよび
入力できる、顧客エリア用のリッチ テキスト タイルです。さまざまなエリアからの
並行メモを維持および表示できるほか、特に緊急のメッセージについては、
顧客エリア全体に表示されるニュース ティッカーを追加できます。
⑤プロセスでの承認ボタンとダイナミック・フィールド表示
直感的なワークフロー: プロセスでの承認/拒否ボタンと、ポップアップを経由せずに
プロセス ステップを直接確認します。さらに: 実行時にフィールドを動的に表示または
非表示にする非表示/表示機能が、プロセスでも利用できるようになりました。
⑥チケットを「既読 | 未読」としてマーク
概要の維持: チケットとチケット内の記事を手動で既読/未読としてマークします。
⑦時間追跡の一時停止
効率の向上: 特定のアクションでは、必須の時間追跡を一時停止できます。つまり、
時間単位を追跡するために空のメモを作成する必要がなくなります。
⑧「次のステータス」設定
常に一歩先へ: テンプレートで次のチケット ステータスを直接定義できるようになりました。
⑨セルフサービス ポータルでのチケット情報の表示
サービス ポータル: SysConfig を介してチケット情報を常に表示できます。
顧客エリアで CMDB 情報を表示するための準備 (CMDB 11.0以降)。
⑩無効な要素の非表示
管理者インターフェイスでの概要: 無効な要素はデフォルトで非表示になりました。
チェックボックスを使用して設定を個別に調整できます。
⑪制限付き管理権限の委任
LightAdmin 機能: 管理領域の特定の要素を他のユーザー グループが選択的にアクセスできるようにします。例えば、各自の挨拶文、署名、テンプレートを部門別に管理できるようにします。
⑪Webサービス用のKerberos
Web 用の Kerberos 認証 (Web 2019) が利用可能になりました。
⑫構成管理データベース (CMDB) の改良
CMDBを改良されました。
⑬レポート作成
統計を記事レベルで定義できるようになりました。
⑭FAQ記事の表作成
これまでのOTOBO 10.1まではFAQ記事に表の作成するためには、HTMLで書く必要がありましたが、表の作成を簡単にできるようになりました。
2023/12/29 桜井耕造
先般、Windowsのインベントリ情報の収集について紹介しました。今回は、Linux系の収集データについて紹介します。audit_linux.shをサーバに配布し、実行することで、サーバにデータをアップロードします。Linuxでは、以下の情報を取得できます。
![](https://www.io-architect.com/wp/wp-content/uploads/2023/12/audit_linux.sh_.png)
■Linuxの設定情報
ホスト名、IPアドレス、OS名、OSバージョン、メーカー
■ハードウェア情報
ハードウェアメーカー、シリアル、バージョン、モデル、
ディスク情報(メーカー、ディスク容量)、メモリ容量、
プロセッサー情報(メーカー、スピードなど)
■ソフトウェア情報
インストール済パッケージ名、バージョン、稼働状況 など
![](https://www.io-architect.com/wp/wp-content/uploads/2023/12/Linux_service.png)
■ロケーション
会社、組織、市町村、住所、国、所有者 など
■購入情報
購入請求書番号、資産管理番号、購入者番号、購入ベンダー、購入日、EOS、更新期限 など
■添付ファイル
画像ファイルはその内容を表示させることもできますし、単純に添付ファイルとして格納させることも出来ます。